2026.06.23

営業外注の相場を損益分岐点から逆算する|従量課金vs固定費モデルの選び方

「営業外注を検討しているが、どれくらいの予算を見ておけばいいかわからない」――この疑問を持つ経営層は少なくありません。営業外注の相場は料金体系によって構造がまったく異なるため、他社の事例をそのまま当てはめると、予算が合わなかったり、期待する成果が得られなかったりします。

本記事では、営業外注の主要3モデルの仕組みと費用構造を整理したうえで、自社の受注単価・商談化率・目標商談数をもとに「どのモデルが損かどうか」を逆算する考え方を説明します。300社以上の事業成長を求めるBtoB企業を支援してきた株式会社START WITH WHYの現場経験をもとに、予算規模の見当がつかない段階でも使える判断軸を提供します。

営業外注の主要3モデルと仕組み

営業外注の費用構造は、大きく3つのモデルに分けられます。どのモデルを選ぶかによって、月次のキャッシュアウトの大きさ・リスクの所在・成果の出方がまったく異なります。まずは仕組みを正確に理解することが、相場感を掴む第一歩です。

モデル1. 従量課金型(成果報酬型)

従量課金型とは、アポイント獲得件数やリード数など、発生した成果に対して料金を支払うモデルです。月次の固定費は発生しない(または低い)ため、成果が出なかった月の損失を最小化できます。

  • 主な料金例:アポイント1件あたり1.5万〜5万円、コール1件あたり150〜300円
  • 初期費用:0〜10万円程度(リスト作成費・設計費が別途かかる場合あり)
  • 費用が膨らむパターン:アポ数を追いすぎて、商談化しない低質なアポが積み上がる

従量課金型は「成果が出たときだけ払う」という構造に見えますが、アポイントの定義が曖昧だと、担当者が日程だけ押さえた「会うだけアポ」を大量に納品しても料金が発生します。契約前に「商談化率の目安」と「アポイントの質の定義」を確認しておくと、費用対効果の把握がしやすくなります。

モデル2. 固定費型(月額固定型)

固定費型とは、稼働人数・稼働時間に応じて月額固定の料金を支払うモデルです。成果の多寡にかかわらず費用が発生するため、安定した成果が出ている局面では費用対効果が高くなります。

  • 主な料金例:月額50万〜150万円(稼働人数・支援範囲・担当者のシニアリティによって変動)
  • 初期費用:5万〜30万円(戦略設計・スクリプト作成を含む場合は20万〜50万円)
  • 費用が膨らむパターン:立ち上げ期に成果が出ない月が続き、固定費だけが積み上がる

固定費型は「稼働に対して払う」構造です。担当者の質・戦略設計の精度が低ければ、稼働していても成果に繋がりません。逆に言えば、優秀な担当者と精度の高い設計がセットで機能している場合、従量課金型より総費用が下がることが多いです。

モデル3. 複合型(固定+成果報酬)

複合型とは、月額の基本料金に加えて、成果に応じたインセンティブが上乗せされるモデルです。代行側にも成果へのコミットメントを持たせつつ、固定費を抑えるバランス型と位置づけられます。

  • 主な料金例:月額基本料25万〜50万円+アポイント単価5,000円〜2万円
  • 初期費用:5万〜20万円
  • 費用が膨らむパターン:成果が好調な月に変動費が跳ね上がり、予算上限を超える

複合型は一見バランスが良いように見えますが、費用の予測が立てにくいという難点があります。月次の最大コストを想定しておかないと、成果が出た月に予算超過が起きるというやや逆説的な事態になりえます。契約前に「月次の上限コストシミュレーション」を依頼しておくと安全です。

モデル 月額の目安 初期費用 リスクの所在 向いている局面
従量課金型 アポ単価1.5万〜5万円×件数 0〜10万円 アポの質・定義次第で費用対効果が悪化 小さく試したい/予算上限が厳しい
固定費型 月額50万〜150万円 5万〜30万円 立ち上げ期に成果が出なくても費用は発生 中長期で成果を積み上げたい/戦略設計から任せたい
複合型 基本料25万〜50万円+変動 5万〜20万円 成果が出た月に変動費が予算超過しやすい 固定コストを抑えつつ成果にもインセンティブを持たせたい

自社の売上規模・受注単価から逆算する予算

営業外注の相場を「市場の平均値」で把握しても、自社に合った予算感は出てきません。自社の受注単価・商談化率・目標とする商談数から「この外注費用は回収できるか」を逆算することが、判断の出発点になります。

逆算の基本式

営業外注への投資が回収できるかどうかは、以下の3つの数字で判断できます。

  1. 目標商談数を決める:月に何件の商談が必要か(例:月10件)
  2. 商談化率から必要アポ数を出す:アポ→商談の転換率が50%なら、月20件のアポが必要
  3. 受注単価×受注率から月次売上の期待値を出す:受注単価200万円・商談→受注率20%・月10商談なら、期待売上は200万円×20%×10件=400万円/月

この400万円に対して外注費用が月額100万円であれば、粗利率次第では十分に回収できる計算になります。一方、受注単価が低い商材(例:月額5万円のSaaS)では、同じ月額100万円の外注費は構造的に回収しにくくなります。

受注単価別・外注費の許容範囲の目安

以下は、受注単価と商談→受注率の組み合わせから「月額外注費の回収に必要な月次商談数」を逆算した参考値です(粗利率60%、外注費を粗利の30%以内に収めることを前提とした試算)。

受注単価 商談→受注率 月額外注費100万円を回収するのに必要な月次商談数 現実的かどうか
300万円(システム導入など) 25% 約2.2件 現実的。月2〜3件の商談で成立しやすい
100万円(コンサル・年間契約など) 20% 約8.3件 月8〜10件の商談が確保できれば成立圏内
30万円(単発サービスなど) 30% 約18.5件 やや厳しい。商談数の確保が前提条件になる
10万円以下(低単価・月額課金など) 30% 55件以上 固定費型の外注費回収は構造的に困難

この試算はあくまで目安ですが、「うちの商材で月額100万円の外注は現実的か」という問いへの一次回答として使えます。受注単価が低い商材で固定費型を選ぶのは、相当の商談数が確保できる見込みがある場合に絞っておくほうが無難です。

見落としがちな「機会損失コスト」の考え方

外注費用の判断で「払えるかどうか」だけを見ていると、もう一方の問いを見逃します。それは「外注しなかった場合、自社の営業リソースで同じ成果が出るか」という問いです。

自社で営業担当を1人採用すると、人件費だけで月50万〜80万円、採用コスト・教育コストを含めると初年度は200万円を超えることも珍しくありません。立ち上がりまでに6ヶ月〜1年かかることを考えると、外注費用との比較は「月額の数字」だけでなく「初期から成果が出るまでの総コスト」で行うほうが実態に近くなります。

固定費化による月次負担感の評価

営業外注を固定費として持つことの「月次負担感」は、売上規模によって大きく変わります。同じ月額100万円でも、月次売上が1,000万円の会社と5,000万円の会社では、体感も意思決定の難易度もまったく異なります。

売上に対する外注費比率の目安

現場で見てきた経験から、営業外注費が売上比率で何%以内であれば「許容範囲」と捉えられるかの目安を整理します。

月次売上の規模 外注費の許容目安(売上比) 月額外注費の目安金額
500万円未満 5〜8% 25万〜40万円
500万〜1,500万円 5〜10% 25万〜150万円
1,500万〜5,000万円 3〜8% 45万〜400万円
5,000万円以上 2〜5% 100万〜250万円(複数人体制)

この比率は「これ以上払ってはいけない」という上限ではなく、「この範囲であれば損益への影響を吸収しやすい」という感覚値です。成長投資として外注費を積む場合、一時的に上限を超えても許容できる局面はあります。ただし、3ヶ月以上この比率を超えて成果が出ていない場合は、モデルか委託先の見直しを検討する段階と判断できます。

固定費化のリスクと「撤退基準」を先に決めておく理由

固定費型の外注を始めるとき、多くの経営層が「成果が出なければ解約すればいい」と考えます。しかし現場では、3ヶ月経っても成果が出ない状況で解約を決断できない事例が目立ちます。理由は2つです。

  • 「もう少し待てば成果が出るかもしれない」という期待:立ち上げには時間がかかるという代行側の説明が、ずるずると契約継続につながる
  • 撤退後の代替手段がない:解約しても自社の営業リソースが補充されるわけではないため、撤退に踏み切れない

これを避けるには、契約前に「何ヶ月でどのKPIが達成されていなければ解約を検討する」という撤退基準を書面で合意しておくことが現実的です。代行会社側がこの問いに対して明確な回答を避ける場合は、それ自体をリスクのサインと捉えてください。

固定費型で「試算が合いにくい」商材の特徴

固定費型の外注費回収が構造的に難しい商材・状況には、いくつかの共通点があります。

  • 受注単価が50万円以下で、受注までのリードタイムが3ヶ月以上かかる
  • 意思決定者が複数いて、商談から受注まで平均5回以上の接触が必要
  • 市場が成熟していて競合が多く、アポイント→受注率が10%を下回っている

これらの条件が重なる場合、固定費型よりも複合型か従量課金型を選ぶほうが、費用対効果のコントロールがしやすくなります。あるいは、外注範囲を「アポイント獲得まで」に絞り、商談以降は社内で対応するという切り分けも有効です。

自社の受注単価から予算そのものを逆算するシートは営業代行の予算の決め方|ROI逆算と業界別シミュレーションで費用を組むにまとめています。

成長段階ごとの最適モデルの選択

「どのモデルが正解か」という問いへの答えは、自社の成長段階によって変わります。創業期・成長期・安定期では、営業外注に求める役割も、許容できるリスクの水準も異なるからです。

創業期〜初期事業検証フェーズ(月次売上500万円未満)

この段階での営業外注の役割は「商談数を確保しながら、どの顧客に何の価値を提供できるかを検証すること」です。まだ受注パターンが定まっていないため、固定費型で大きな予算を使うのはリスクが高くなります。

推奨モデルは従量課金型か複合型(固定費を抑えたプラン)です。月額20万〜50万円程度のプランで、まず「この商材でアポが取れるか」「商談での反応はどうか」を確認することが先になります。この時期に月額100万円以上の固定費型を選ぶと、検証する前にキャッシュが尽きるリスクがあります。

成長期(月次売上500万〜3,000万円)

受注パターンがある程度見えてきて、「もっと商談数を増やせば売上を伸ばせる」という手応えが出てきた段階です。外注費への投資対効果が出やすいタイミングでもあります。

推奨モデルは固定費型(戦略設計込み)です。月額80万〜150万円で、ターゲット設計からスクリプト、実行PDCAまで一気通貫で任せることで、社内リソースを商談・クロージングに集中させられます。この局面では「安いモデルで数だけ確保する」より「質の高い設計を持ち込める代行会社に適切な費用を払う」ほうが、中長期のROIが上がりやすいです。

安定期・拡張期(月次売上3,000万円以上)

社内の営業体制が整ってきて、外注の役割が「新規市場の開拓」や「特定チャネルの強化」に変わってくる段階です。全体の営業費用に占める外注費の比率が下がり、効率化の視点が入ってきます。

推奨モデルは複合型か、用途を絞った従量課金型の併用です。既存のインサイドセールス体制と連携しながら、新規開拓チャネルだけを外注するという切り分けをする企業が増えます。この段階では「外注先を1社に集約する」より「役割ごとに複数の外注先を使い分ける」ほうがリスク分散になるケースもあります。

成長フェーズ 月次売上の目安 推奨モデル 月額外注費の目安 外注に求める役割
創業期・検証期 500万円未満 従量課金型・複合型(低固定) 20万〜50万円 受注パターンの検証・商談数の確保
成長期 500万〜3,000万円 固定費型(戦略設計込み) 80万〜150万円 商談数の最大化・受注パターンの横展開
安定期・拡張期 3,000万円以上 複合型・用途別従量課金の併用 50万〜200万円(用途により変動) 新規市場の開拓・特定チャネルの強化

「モデルを変えるタイミング」のサイン

一度選んだモデルが自社の成長段階と合わなくなってきたときのサインを整理しておきます。以下のどれかに当てはまったら、モデルの見直しを検討する時期と捉えてください。

  • 従量課金型 → 固定費型への切り替えサイン:毎月アポ獲得件数が安定してきて、従量コストの合計が固定費型の月額を上回り始めた
  • 固定費型 → 複合型への切り替えサイン:商材の市場が成熟し、アポイント単価の上昇が止まらず固定費の回収が厳しくなってきた
  • モデル全体の見直しサイン:3ヶ月連続で外注費が売上比10%を超えており、かつKPIの改善が見えていない

営業外注費の相場を「比較の数字」ではなく「投資の判断基準」として使う

営業外注の相場情報はWebで探せばいくらでも出てきます。「月額50万円〜」「アポ1件3万円〜」といった数字を並べることは難しくありません。ただ、相場を知っても「自社にとってこの費用が妥当かどうか」はわかりません。

自社にとって意味のある予算感を作るためには、3つの数字が必要です。

  1. 自社の受注単価:1件受注すると平均いくらの売上になるか
  2. 商談→受注率:商談10件のうち何件が受注に繋がるか
  3. 必要商談数:月の目標売上を達成するために何件の商談が必要か

この3つが揃えば、「外注費が月額○○円以内なら回収できる」という上限値が出てきます。その上限値と各モデルの相場を照らし合わせたとき、どのモデルが自社に合うかが見えてきます。

営業外注の選定をさらに具体的に進めたい場合は、代行会社の選び方・比較基準を整理した「営業代行おすすめ比較」や、費用体系の詳細を解説した「営業代行の費用相場」もあわせてご参照ください。また、アウトバウンド特化で外注を検討している場合は「アウトバウンド営業代行とは」が参考になります。

株式会社START WITH WHYでは、食品・卸・ヘルスケア・ホテル向けサービスなどの事業成長を求めるBtoB企業を中心に、営業外注の設計段階から実行まで一気通貫で支援しています。「自社の受注単価だとどのモデルが合うか」という個別の相談にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 営業外注の従量課金型と固定費型、どちらが初めての会社に向いていますか?

A. 受注パターンがまだ定まっていない創業期・検証期であれば、従量課金型または固定費を抑えた複合型から始めるほうがリスクを抑えられます。月額20万〜50万円程度で「アポが取れるか」「商談での反応はどうか」を確認してから、固定費型への移行を検討する流れが現場では多く見られます。

Q. 営業外注の月額費用はどのくらいが相場ですか?

A. モデルによって異なります。従量課金型はアポイント1件あたり1.5万〜5万円、固定費型は月額50万〜150万円、複合型は基本料25万〜50万円+変動費が一般的な目安です。自社の月次売上規模に対して外注費が売上比5〜10%以内に収まるかどうかを確認する視点が、許容範囲の判断に役立ちます。

Q. 受注単価が低い商材でも営業外注は使えますか?

A. 受注単価が10万円以下の商材で固定費型(月額50万〜150万円)を選ぶと、費用回収に月55件以上の商談が必要になり、構造的に成立しにくくなります。低単価商材の場合は、従量課金型で外注範囲をアポイント獲得に限定し、商談以降は社内対応に切り分けるモデルが費用対効果のコントロールに向いています。

Q. 営業外注の撤退基準はどう設定すればよいですか?

A. 契約前に「何ヶ月でどのKPIが達成されていなければ解約を検討する」という基準を書面で合意しておくことが現実的です。目安として、3ヶ月連続で外注費が売上比10%を超えかつKPIの改善が見えない場合は、モデルまたは委託先の見直しを検討する段階と判断できます。代行会社がこの問いへの明確な回答を避ける場合はリスクのサインと捉えてください。

Q. 株式会社START WITH WHYの営業外注支援はどのような企業が対象ですか?

A. 食品・卸・ヘルスケア・ホテル向けサービスなどの事業成長を求めるBtoB企業を中心に、300社以上の支援実績があります。営業外注の設計段階から実行まで一気通貫で対応しており、「自社の受注単価だとどのモデルが合うか」といった個別相談にも対応しています。まずはお問い合わせから現状のヒアリングを受けることができます。

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